カイジ|欲の奴隷

わかってる。わかってた。
そもそも出会いがパチ屋の換金所って所からしてクソってことも知ってる。
カイジは働かない。働いても気がつくとすぐ辞めてる。
家賃も水道光熱費も食費も出さない。
ていうかここ私の家だし、勝手に住み着いただけだ。
時々ギャンブルで勝った時に何万かくれることもあるけど、そんなもの今まで私がカイジを生かすために支払ってきた額に比べればちっぽけなものだ。
ただまぁ、私の財布から勝手に金抜いたり生活費盗んだりはしないから、最悪よりはマシかな。携帯くらい持てよとは思うけど、カイジにとっては果てしなく無駄な出費なんだろうなと思うと節約している意思が見えなくもない。
開店前からパチ屋に並んで閉店まで打ち続けるおかげで、ニートが住んでるわりに光熱費もかかっていない。
……て、なにこの弁護。
私の友達がこんなこと言って彼氏庇ってたら正気に戻れとビンタすると思う。
そういう自覚も一応ある。

「これ新刊出た?」
「昨日ね」
「買った?」
「……明日ね」
「やった、早く明日になんねーかな」

ごろごろごろごろ。
昨日有り金全部スったから、今日は朝から一日中ゴロ寝で私の漫画を読んでいる。
わかってたよ。
全部わかってるけど。
私が休みの日にデートするくらいのお金残せなかったの?
せめて家事くらいしたら?
今読み散らかしてる漫画、ちゃんと片付けるんでしょうね?
なんて、苛立ちが顔をもたげてしまう。
あなたが枕にしてるそれ、私のぬいぐるみなんですけど。

「喉乾いた」
「麦茶しかないからね」
「うーん」
「自分のお金で買って」
「あとで麦茶飲む」

少しでも節約したいからエアコンはなるべくつけないでと忠告したら、夏はパンイチで過ごすようになってしまった。
良かったのか悪かったのか……
今日も相変わらずパンイチで寝転んでいる。
こんなに恨みを買ってもおかしくなかろう私の前で心底無防備なカイジに、無性に腹が立つ。

「っア!! ナマエ!?」

なんなのよ、カイジのバカ。
怒りに任せてパンツ越しにちんこを踏みつけてやった。
やわやわもにゅもにゅとした独特の踏み心地は、それなりにがっしり筋肉質なカイジの弱点を踏みにじるようで妙な満足感がある。
仁王立ちの下で悶える姿は私よりも女らしい。

「私が休みの日くらいもう少しなんかあってもいいんじゃないの?」
「ちょっ、いたい、ナマエっ」
「痛い? 嘘つき、変態」
「ごめん、ナマエ、やめて…ッ」

真っ赤な顔を両手で覆いながらじたばたと身をよじるカイジは、とても本気で抵抗しているとは思えない。
私のなすがままになるカイジの頭の横には読み散らかした漫画があって、また苛立ってぐりぐりとちんこに圧力をかけた。
そういえば小学生の頃、下品な男子たちがこうやってはしゃいでいたのを思い出す。

「ナマエ、ごめんってばぁ…」

でもあの時の男子たちは、今のカイジみたいにこんなに固くしてなかっただろう。

「やだ、叱られてんのにどういうこと?」
「うう…… だってナマエがいじるから」
「カイジが悪いんでしょ?」
「だからごめんって」

今にも泣きそうな顔で私の足に手を伸ばし、こわごわといった手つきでそっと触れた。
無反応な私を見るや否やむくりと起き上がって、何をするのかと思えばむき出しになった私の膝にキスをした。
あまつさえ、太ももに向かってぺろぺろと舐めるだなんて。

「ちょっとなにしてんの」
「パンツ見えちゃった」
「反省はどうしたのよ」
「した」
「嘘つかないで、もうちょっとなんかあるでしょ」
「ナマエの休みの日は、ナマエにリラックスしてもらう」
「え? ああ、うん、なるほど」

なるほど?
何納得してるのよ。
と、自分で突っ込みたいけどもはや後の祭りである。
カイジの顔は上まで到達して、パンツ越しにぐりぐりと恥骨を押し上げた。
おかしいな。
最初は私がちんこ踏んでたんだけどな。

「いいにおい」
「ちょっ、汗かいてるから」

ううう、とカイジが声を出すと、その振動が伝わってクリトリスが痺れた。筋の通った高い鼻の先が掘り起こすようにパンツに沈んで行く。
するすると太ももを撫でていた手がいつの間にかパンツの両サイドに侵入し、それはゆっくりと剥ぎ取られた。
カイジの目の前にどアップで存在しているであろう自分のそこが恥ずかしくて仕方がない。いくら2階部屋とはいえ、レースカーテンしか引かれていない部屋で白昼堂々こんなこと。しかも仁王立ちで。

「ナマエ、オレ反省したよ」
「わ、わかったから」

はむはむ
そんな音が聞こえてきそうなくらい柔らかいタッチでまさぐられ、満更でもない気分になってしまう。なんか私、流されてる感じするけど。

「あ、の……っ」
「今日はオレ、頑張るから!」

そんなこと頑張らなくていいから働いてほしい。
とはもちろん言えず、キラキラ目を輝かせたカイジのなすがままに布団に運ばれ、結局日が暮れるまで散々いじくりまわされてしまった。
本当自分でもどうかと思う休日だった。
でも
頑張るから!と宣言通り、キッチンに立って洗い物をしているカイジを見ていると、やっぱりこの人が好きだと思ってしまう自分がいる。

「ナマエ? どうした?」
「なんでもないよ」
「ふーん……」
「……何?」
「オレさ、ナマエのこと好きだから金持ち目指すわ!」

私は知ってるよ。
カイジがどんなクズ行動していても、心根はいつも私のことを考えてくれていること。

「一獲千金なら馬かな?」
「労働かな」

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