※和也が夢主をディスりまくります(愛あり)、性行為なし裏表現有り
「えっ、ちょ、なんで……」
「あのさ、勝手にいなくなるとか有り得ないから」
「はあ?」
ドアチャイムを連打してようやく顔を出したナマエさんの隙間に潜り込んで、部屋に押し入った。
オレは今あまり機嫌がよくない自覚がある。なぜならナマエさんが勝手に三日も四日も家を空けたからだ。
大晦日に一緒に年越しでもしてやろうかと、わざわざこのオレが気を遣って来てやったというのに留守だなんて。
今思い返せば意地にならずにすぐ連絡してやればよかったものを、何故か無性に腹がってそれから5時間張り込みをしたおかげでオレはベンツの中で黒服とふたりきりで年を越した。
その後も連日で来てやったのに留守は続くし電話したら電話したで「あとで」と言ってすぐ切られるし、マジで最悪の年始だった。
「私だって年末年始くらい実家に帰るっつーの」
「え、実家あんの?」
「逆になんでないと思ったの?」
「ババくさいから」
「ちょっと」
いろいろ言いたいことがあるとかなんとか、ナマエさんがごちゃごちゃ言っているけどそんなことはどうでもいい。
なるほど、実家ね。盲点だったわ。完全に。
いや、あまりにも所帯染みた生活(冷蔵庫にクーポン貼ってる20代ってマジかよと思った)をしているものだから、まるでここがヒトの実家みたいな変な感覚になっていたけど、そりゃそうか。
腑に落ちたらいろいろと合点がいって、さっきまでイライラしてた気分がすっ飛んでしまった。
いきなり押し入ったオレに説教かまそうとしているナマエさんを改めてよく見たら、あまりにも酷い格好をしていてだんだんかわいそうになってくる。
「つーかなんなのそのカッコ……」
「はっ! あっ、やだちょっと見ないでよ、和也が突然来るせいじゃん!」
なんかの汁が茶色く染みたダッサい水色のジャージに名札が縫い付けてあり、それが学生時代の遺物だということは明確だ。
しかも上下セットで着ているという律儀っぷりがダサさを猛烈に加速させている。
「ソレ、いつのジャージ?」
「ちゅ、中学……」
「ブッ……」
「わわわ笑わないでよ、着心地いいんだから!!」
中学って。
それにしてもこれがナマエさんの本気の部屋着だとすると、いつもの“部屋着”は一応ヨソイキの部屋着だったわけだ。
一丁前にそんなこと気にしてると思うと、ババア手前のくせにかわいい所があるななんて、妙に愛しさがこみ上げてくる。
焦るナマエさんを宥め透かしてソファに座らせた所で、テーブルに広がる惣菜の山に気がついた。しかも晩酌の途中だったらしく、いかにも女の力で潰された歪なビール缶がふたつと、そうでないビール缶がひとつある。
いつもはグラス出てたよな? と思いつつ、あれもヨソイキだったんだと即座に理解した。
「これ全部食うつもりだったの?」
「いや、だって、お母さんが持ってけって言うし腐ったら困るし」
「……」
「えっ、きゃあッ!!」
この際全力で素に戻った所を存分に見物してやろうと、隣でモジモジしていたナマエさんを押し倒してジャージを剥いだ。
この期に及んで“女の子”ぶっているのが実に滑稽である。
インナーごと捲りあげたそこにあると思っていた目当てのダメな方に本気な下着は存在せず、見慣れたふたつの胸がモロ出しで目に飛び込んだ。
「か、和也ぁ…」
情けない声がして我に返ってナマエさんの顔を見ると、耳の先まで真っ赤に染まっていた。
恥ずかしい、と弱々しく言う割にオレの手に自分の手を重ねる程度の抵抗しかしないあたり、多少酔っていることを差し引いてもやっぱりオレ好みのどストライクの変態だと実感する。
「ナマエさん、本当は家でこんなカッコなんだね」
「やだ、こんなの見せるつもりなかったし、」
「見せてよ」
ナマエさんににじり寄って手をどけると、そのまま服を捲り上げて手枷にする。って言っても、こんなの本人が解こうと思えば簡単に脱げるわけで。
まあナマエさんはそんなことできないけど。
案の定オレのなすがままになって、下のジャージも引きずり降ろされた。
「……ダッサ」
「は、恥ずかしい、本当に…」
やっとお目当てのダサ下着に出会えて、正直めちゃくちゃ興奮した。ちょっと自分でも信じられないくらいに勃起しているのがわかる。革パンなんか履いてきたせいで痛いくらいだ。
いつもみたいにツルツルした素材ではなくて、もちろんサイドは紐じゃないし、セクシーな透け感などまるで存在しない。
なんなら男物のブリーフが一番近い。素材といい形といい、デートに誘っていい感じに酔っていざホテルにしけ込んだ所でコレが出てきたら激萎え間違いなし。
だがしかし今のオレは違う。
普段あれだけ“女子”ぶっていたナマエさんの化けの皮を剥いだ達成感と、むき出しになった素顔をめちゃくちゃにしたい欲求がムラムラと湧いている。
とにかく加虐心の煽られ方が尋常ではなく、それがすべて下半身に集結していた。
「てかナマエさんさ、実家帰って太ったでしょ」
「うっ、ばれた?」
「ちょっとやそっとの話じゃないのはこれ見ればわかる」
ダサパンツの上にはみ出した肉をブニブニと摘むと、ナマエさんはなおも情けない声でやめてと言った。
元々大して細い方ではないが、それが更にふっくらして、運動しないその体の肉付きは非常にだらしない。
……最高じゃん。
え、ちょっと、ヤバい。
今気付かされた。
オレこういう体が好きだったんだ…… 変態くさ……
「下着はダサいし服装は女捨ててるし正月太りしたのにひとりで晩酌してたんだ?」
「もうやめてくださいぃ、ごめんなさいぃ……」
武者震いするような興奮を抑えながらナマエさんの耳元で囁く。
少しだけ触れた頬がとても熱かった。
「ちょっと見ないうちにコレだもんなぁ」
「ほんと、やめ、て……」
「オレ様の女の自覚ある?」
「ふ、ぅッ……」
パンツの隙間に指を差し込んでパチンと弾くと、ナマエさんの口から小さな嗚咽が漏れる。
オレとナマエさんの頬同士が僅かに触れたところに生暖かい液体が滑り込んだ。
「は、恥ず、かし、ごめんなさい」
ぞくぞくした。
今すぐ顔が見たいと思いながらも、そっと顔を離して極めて冷静にナマエさんを見つめた。
ああ、やっぱり!
ナマエさんは真っ赤な顔でポロポロと涙を零している。
悲哀でも怒りでもなく、羞恥の涙である。
ずっとずっと見てみたかった、求めていた泣き顔はこれだった。
「フフフ、」
「笑わ、な、でよぉ……」
「やっぱナマエさん最高だわ」
「え、っ」
あまりに情けない顔を見ていたら今度は一転して加虐心どころか全力で甘やかしたくなる。
我ながら情緒不安定極まりないが、ナマエさんを見ていると相反するふたつの気持ちがコロコロと入れ替わるのだ。
めそめそしているナマエさんをぎゅうっと抱きしめて耳元に何度かキスをしていると、落ち着いてきたのかひっくひっくと呼吸を整え始める。
耳元へのキスはそんな精神安定剤みたいな役割を果たしたいわけではないんだけど。これでは本来の役割には足りないらしい。
泣いてるナマエさんを抱きたいって、なんで伝わらないかなぁ。
やれやれ、まったく手のかかる女だ。
わざと呼吸音を聞かせるようにして、軟骨に沿って舌を這わす。ようやくオレの意を汲んだらしいナマエさんはビクッと震えてから「いいの?」と間抜けな質問をした。
「今のナマエさん最高」
「えっ、な、なにそれ、っ」
「縛りたい」
「縛るって」
「ギチギチに縛ってハムみたいにして食っちゃいたい」
「なっ、ば、バカ」
そういえばポケットにネクタイが入れっぱなしになっていたはず。
細めのネクタイの端と端を右手に持って、その反対側を左手で広げてナマエさんの胸に押し当てる。貧しくも豊かでもない胸が上下のタイに挟まれてむにっとはみ出した。
緊縛を連想させる風景を見て、明日速攻馴染みの縄師の所に行くことを決意する。
ナマエさんは少し緊張したように口を噤んでタイを押し当てられた胸元をじっと見ていた。
胸からネクタイを浮かせ、そのまま下方にスライドして腹肉に押し当てる。さすがに胸ほどではないけれど、強く押し当てたせいでぷっくりと肉が浮き上がった。
「たかがネクタイでこんなはみ出すのヤバくない?」
「あっ、」
さっきまでのオレの罵倒を思い出したのか、再び目に涙を滲ませた。
今度はネクタイから目を背け、オレとも目を合わせないように必死の様子が実に滑稽だ。
「縄で縛ったらもっとはみ出すんじゃね?」
「や、痩せる…… 多分」
「しかもパンツこれって」
「っん、それは、」
クロッチの外側から中指を突き立てると、指先がほんのり温かく若干の湿度を感じ取る。感じてるんじゃん。
さすがナマエさん、やっぱり変態だったか。
「ナマエさんはこのままメス豚になっちゃうの?」
「なっ、ならない…… あっあ、」
「でも豚じゃん、で、ここはメスじゃなかったらなんなの?」
「やっだ、んっ、ん」
必死で声を抑えてるようだけど、そんなの無駄じゃね?
ああ、でも、それが無駄でないとすれば、それは全部オレの下半身の糧となるってことだ。湿気の上にむくりと勃ち上がった小さな突起を弄ぶと、ナマエさんはギュッと目を瞑る。
思いつきで反対の手でナマエさんの鼻を下から押し上げてみた。
鼻の骨ってのは軟骨というわりには硬いもので、結構力を入れてグッと押さえると、愛らしい豚鼻をしたナマエさんがまた涙を零した。
「メス豚ちゃん」
「見ないでっ、や、あっあ、」
こんなブサイクな顔にさせられているのにも関わらず、喘ぎ声を我慢できないナマエさんはまさにオレのかわいい豚だ。
目の前で繰り広げられている光景のすべてが今までのオレの性生活の価値観をぶっ壊していくのがわかる。
信じられないほど興奮しているし、もはやイく寸前のちんこからは先走りの汁が漏れて気持ち悪くて仕方ない。
「やばいわー、ナマエさん才能あるね」
「えっ? ……なんの?」
「気にしなくていいよ、オレはメス豚でもナマエさんが大好きだよ」
「は? いや、でも」
ナマエさんもといメス豚は、喜ぶべきかそうでないか、そんな複雑な表情をしていた。名残惜しさを感じながらも指を鼻先から離すと、その手はすぐさま下半身に直行する。
もちろんいきり立つそれをペットにぶち込むためである。
オレの手から解放された愛しい豚ちゃんの鼻はふんふんと鳴った。
「和也ってこういうの好きなの……?」
「こういうのって何?」
「なんか、……豚とか、縛ったりとか」
「今気づいたけど好きみたい」
興奮を悟られるのはちょっとダサいなと思いながらも、いそいそとナマエさんの布切れと呼んでも過言ではないパンツに手をかける。
……と、その時チラリと目に入ったのはソファ越しの積み上げられた衣類と開封しかけた段ボール箱の山。
よく見ればソファの肘掛けにもマフラーだかストールだかのカシミヤ的な布とナマエさんがよく着ているネイビーのコートが放り出してある。
自分でもよくわからないが、それを見た瞬間急激に萎えを感じた。
「……ナマエさん、好きだよ」
「は、あ、うん、……私も」
私も、じゃない!
部屋を! 片付けろ! つーかそもそもそんな変なジャージ着るなッ…!
良いけど、良くない…!!
突然現実に引き戻されたオレは、汚部屋の中心で変な格好をした女(まあ好きな女ではあるけども)と嬉々としてセックスに興じようとしていたことが猛烈に恥ずかしく思えてならなかった。
後ろ暗ささえ感じた。
きょとんとしているナマエさんを見て頭を抱える。
「……年末、大掃除とかしたの」
「してません」
「……しないの」
「……しようか? な?」
ナマエさんは引きつった顔でわざとらしく「えへへ」と笑った。
はあ、と盛大にため息をつくと、ナマエさんはオレの腕に手を伸ばして首をかしげる。
「……今日はもうしないから」
「えっ、し、しようよ…… ほらぁ」
「バカッ! そんな気があるならいつでもオレが来ていいようにしとけ!」
情けない! あんな罵倒されてすっかりその気になって! 変態!
と罵りたいほど愛しい気持ちも湧いてきて、本当にわけのわからない心理状態だ。
情緒不安定すぎるだろ。
ナマエさんはオレの様子を伺いながら申し訳なさそうにしている。
「ご、ごめんって」
「……じゃあ掃除しようぜ、見ててやるから今からして。1時間でやって」
「えっ、お、鬼……」
「よーいスタート」
「あっ」
両手を叩くと条件反射のようにナマエさんは例のジャージを着なおしていそいそと掃除を始めた。
まったく世話が焼けるぜ。
「ねえねえ、和也も大掃除とか気にするんだね」
「……」
違うだろ!
気にしねぇよ! こんな部屋でセックスすんのがバカらしいだけだろ!
……ナマエさんに突っ込んでいたらキリがない。
早く掃除して、と睨んでやったら慌ててすぐに掃除をし始めた。
変なジャージで視界をうろちょろしている姿を見て、再び盛り返す下半身に気づき、我ながらとんでもない性癖に目覚めてしまったものだと少し落ち込んだ。
「一時間以内に終わったら抱いてやってもいい」
「!!」