メルル|徒花

※死ネタではないですが、ちょっと悲しいかも?

「ねえメルル本気で言ってるの?」
「当たり前だ、お前は俺に従ってればいいんだ」
「でも悪い人たちじゃないと思うよ、大丈夫だよ、考え直して」
「お前に何がわかるんだ、いいか、俺に従え」

ナマエは酷く困惑していた。
どうにか俺の計画を止めたくて、必死だった。
腐った死体どもから逃げている途中で出会ったキャンプを乗っ取れば、食料も安全も確保できる。そうすればナマエと弟も、もちろん俺も、安定した生活ができるだろう。

「ダリルもそう言ってた?」
「あいつは俺に従う」
「おかしいよ、だってみんないい人なのに」

ナマエは生温い。
良く言えばすぐに人を信じてやれるイイやつかもしれないが、こんな状況では逆手に取られて殺られるのがオチだ。
こんな世界では誰も信用してはいけない。

「お前は地獄を知らねえだろう」
「、でも……」
「俺がお前を守る、だから従え」
「……うん」

そう言って無理矢理納得させた。
明日の夜決行だと言うと、ナマエは不安そうに頷いた。やはりナマエには言わなければよかった。
何も言わずにやり通せばこんなに困らせることもなかっただろう。
ダリルと俺で捕ったリスがキャンプの連中に振る舞われた。あんなに捕ったのに、俺たち3人で1.5匹分の肉しかない。あいつらがいなければ全部俺たちのものだった。
俺とナマエの寝床として宛てがわれた2人用のテントの中には重たい空気が漂う。
1匹のリスを前にして、2人で辛気臭い顔をして、大して会話も弾みやしない。どうしてこんな世の中になっちまったんだろう。

「俺はいらねえよ、お前が食え」
「でもメル」
「リスなんてガキの頃に食い飽きた」

仏頂面で皿のリスを放置しておいたら、ナマエがおずおずと手を伸ばし、ものの数分で食べ切った。大して美味くないはだろうが何もないよりはマシだ。
俺は最悪虫でも草でも食えるけど、ナマエはそういうわけにはいかない。少しでも食えるものは食わせてやりたい。

「明日は俺が探索当番だとよ」
「えっ!? それは、その…… 私も行ってもいい?」
「ふざけんな、駄目に決まってるだろ!」
「でも」
「なんだよ、そんなに離れるのが嫌か?」

茶化すように腰をいやらしく撫でて半笑いで問いかけると、ナマエは今にも泣き出しそうな顔でこちらを見つめた。
不覚にもドキリとしたが、そうは言っても行かないわけにはいかない。

「当たり前だよ、離れたくない、一緒に行きたい」
「おい泣くな、ちゃんと帰ってくるから心配するなよ」
「帰ってくるまで1人で居ろっていうの? メルルが信用できない人たちの中に置いていくの?」

行かないでと言って泣きじゃくるナマエはまるで子供に見える。
こういう時、アジア人の見た目はずるい。俺にすがり付いてポロポロと涙をこぼし、何度もお願いと言った。
確かにナマエの言うことも一理ある。あいつらに任せておくのは不安だが、俺と一緒にウォーカーだらけの街に連れて行くわけにもいかない。
そうなると答えはひとつしか無かった。

「俺が帰ってきた時にナマエが無事なら、ここのやつらは誰も殺さない、それでいいな」
「ほ、本当?」
「大事な俺のナマエを守って貰わないといけないからな、気に入らないが仕方ねえ」
「メルル」
「ただしお前になにかあったら1人残らず全員殺す」
「大丈夫だよ」

さっきまでの泣き顔が嘘のように笑った。本当に生温いやつだ。
しかしナマエになにかされても困る。キャンプのやつらといる時はできるだけ穏便にしなければいけない。
クソ、乗っ取り計画を立てていたのはこっちだというのに、人質でも取られた気分だ。
ナマエの手がそっと俺の腰に絡み、薄汚れたシャツの中に侵入してくる。背中の方まで移動した腕によって、シャツが押し上げられた。
愛しい女にここまでされて黙っていられるわけもなく、自分のシャツは脱ぎ捨てて早速ナマエのタンクトップを剥ぎ取る。

「ナマエ、」
「こんな世界になってから、毎日抱き合いたいって思う」
「奇遇だな、俺もだ」

互いの服を脱ぎ合うと、以前の生活より逞しくなった体がむき出しになる。薮だらけのサバイバル生活では作った生傷は絶えずその数を増やしていた。
キスをしながら愛撫もそこそこにナマエの膣に硬くなった自身を突きつけ、這わせるように滑らせた。
吸い付くようなナマエの中に早く入れたくてたまらない。

「メルル、お願い、もう来て」
「ああ、」

接合部でヌルヌルと潤滑油の役目をしている体液は、ナマエのものか俺のものか、もう検討もつかなかった。
滑らせる勢いに任せてズブリと先端を埋めてカリを引っ掛けると、少し腰を浮かせてから一気に奥まで貫く。ナマエの体が大きく震えて、ああ軽くイったなと思った。

「お前の中は堪んねえな、っ」
「わ、私も、メルルの好き、!」
「指も好きだろ?」
「ひっ、あっ、んんんっ、あっ」

俺を飲み込むそこの上で小さく主張した蕾を、マッサージするように親指で押し上げる。奥が締まる感覚が俺を魅了してやまない。
未だかつてこんなに多幸感に溢れたセックスができる相手がいただろうか。何度抱いても飽きることなくまた抱きたいと思う。
何度もキスを繰り返しながらナマエの足を抜いて腰を反転させ、背後から抱きしめた。顔が見えないのは残念だが、肌と肌を密着させるならこうするのが一番だ。
腰を引いて軽く膝を立たせてから抱きしめると、俺の胸にナマエの背中がぴったりと張り付く。ナマエの中を掻き回すように腰を振って、喜ぶ場所を探った。
打ち付ける腰が尻の肉に当たり、パンパンと下品な音を紡ぎだす。

「あっあっ、メルル、そこだめ、」
「ダメ? “イイ”の間違いだろ?」
「んっ、ふ、ああ、ん、そう、いいの、いきたくなっちゃう、」

ナマエの胸の肉に押しつぶされた所で絡ませ合った指に力が籠り、俺の魂まで吸い出されそうなくらいきつく奥が締まった。
目の前にあった耳の後ろを舐めれば、その締め付けは俺を絶頂に誘う。

「なあナマエ、俺もだ」
「一緒にいこ、ね、メルル、っあ!」
「ああ、ナマエ、愛してる、ナマエ、っ出すぞ」
「んっメルル、大好きぃ……!」

最奥に突き立てた時、脈を打った俺のものが吐き出された。俺の吐き出したものを吸い上げるようにきゅうきゅうと締まる肉壁に、目眩がしそうだ。
ずっとこのままでいたい。
好きなように好きなだけナマエの中にいて、たまに吐き出したい。
しばらくするとさっきまで咥えこんで離さなかった肉壁が押し出すように動き、適度に柔らかくなった俺の物がナマエの中から外に出されてしまった。
それに続いて、白濁した粘つく液体が溢れ出て、再び俺のものを熱くさせる。

「蓋しとかねえと布団が汚れる」
「あっ、メルル、んう……」

それからは俺の体液が枯れるまでセックスをした。ナマエはかわいい声で鳴いて、一晩中俺を求めて締め付けた。
そして今朝、少し悲しげな顔で俺に「行ってらっしゃい」と言った。

昨晩の誓いを、俺はなぜ守れなかったんだろう。
なぜこんなことになった。
屋上に繋がれた俺を救う者はもう誰もいない。どれだけ時間がかかっても必ずナマエの所へ帰らなければいけない。
血溜りで真っ青になりつつある指先を確認して、昨日ナマエを抱きしめた右手にノコギリの歯を宛てた。

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