気持ちいいのかな。言葉にしてくれないから本当の所はわからないけど、瞼を伏せて下唇を噛んで、口の端っこか鼻か不確実な所から漏れ聞こえる声にならない声はとても「よさそう」に見える。
俺が上体を起こしているせいで行き場を失ったナマエの両手は最終的に枕を掴み、晒された脇と張り出した胸が煽情的だった。弓なりにしなる背と、うっすら浮き出た肋骨。柔らかい腹部とへその窪み。
全部愛したいのに腕が足りない。なんならちんこだって足りない。
時々「触手ほしかったな」とか超キモい事考えたりするんだから、本当ナマエって罪作りだと思う。
それにしても明日から出張なんて、酷い話だ。俺の知らない所に行っちゃうなんて、なんか悔しい。仕事とはいえ、上司とはいえ、二人きりではないとはいえ、男が一緒なのも気に食わない。
はあ。明日からのことなんか思い出したくなかったのに。さっきからベッドの脇でチカチカ点灯しているスマホの通知ランプが目障りすぎた。
スマホを引っ掴んで俺の後ろで丸まっている布団の中に突っ込もうとして思いとどまる。
ナマエの左の太ももを俺に押し付けるみたいにして腰を打ち付けながら、空いた手でカメラアプリを起動した。……よし、マナーモードになってる。
そっとナマエにカメラを向けてシャッターボタンを押す。パシャ、という音は聞こえないけど、画面の左下に撮影した写真が一枚ずつ増えていった。
ハイアングルで全体を収めるのもいいけどローアングルで腰から胸のラインを強調してもいいな。てか、くっついてるとこも撮っとこ。一番奥まで挿れてるとこ。ちょっと抜いてるとこもいいかも。
そんなことを考えながらシャッターを切るのに夢中になっていたら、ナマエの中が少し緩んですぐ、慌てた声と同時に一気にぎゅうっと引き絞られた。
「ははっ、急に締めたら出ちゃうって」
「ちょっと何撮って」
「お前」
「は、なんで、やめてよ」
両手で顔を覆うようにしてカメラを遮るけど、なんか逆にそれって不健全な感じしない? 俺よりナマエの方がえっちじゃん。
そのままシャッターを切れば週刊誌の袋とじのような写真が撮れた。これはこれで興奮するからいいけど、やっぱ顔は入れたいな。なんて。
だけどまあ、ナマエが顔を隠してたい気分なら仕方ない。それなら飽きるまでは別のとこでも撮ってよう。太ももをむにむにしつつ少しずつ位置をずらし、親指で結合部の上あたりを押さえると、びくんと腰が跳ねた。
「んっ、やめて」
「記念撮影しよ」
「なんの記念にもならない!」
親指を押し上げると皮の中身が顔を出す。赤く腫れたみたいに濡れたクリトリスが可愛くて、すぐに接写モードでシャッターを切る。
「ナマエのクリかわいい記念」
「えっ!? そんなとこ撮らないで」
慌てて起き上がろうとしたナマエはようやく顔の前から手をどけて、肘をついて上体を半分起こす。ああ、馬鹿だな。そんなふうに手をついたら両手使えなくなっちゃうのに。はあ、ナマエのそういうとこ大好きだな。
ナマエを突き上げながらキスをすると、俺が撮影をやめたとでも思ったのか応えるように舌が絡んだ。
横目でスマホを覗きつつ、インカメラに切り替える。カメラを持った右手を高く上げてここかなーってとこでシャッターボタンを押す。あんまりよく見えないけどまあいっか。
唇を離して、優しく挿入を繰り返した。
「ねえ左向いて、こっち」
「え?」
「はい、ポーズ」
この際どれかしら良いショットがあれば良いって気持ちでシャッターボタンを押し続け、俺とナマエのあからさまに「今やってます」な写真が何十枚と保存される。
ブレないようにあまり激しく動かなかったはずなのに、一番奥がぎゅうっと締まってナマエがイったのはすぐわかった。
「っは、馬鹿じゃないの」
「んー、これが馬鹿なら馬鹿でもいいかな」
「なにそれ最低」
「かわいかったんだからいいじゃん。あとで一緒に見ような」
「やだ!!」
「じゃあ一人で見ておかずにするね」
「は!?」
だってそのために撮ったんだし。半分は。お前が俺を置いて出張に行くなんて言うから。連れてけなんて言わないし、行くななんて言わないけど。ただの嫉妬。
ナマエは困惑とも動揺とも怒りとも取れるような顔をしていた。最後にその顔だけカメラに収めて、撮影会はおしまい。
「そんな顔しないで、ほら、俺まだイッてないし」
「本当は今すぐやめにしたい、勝手に撮影した罰として」
「ええ? こんなに濡れてるのに? クリも好きなくせに?」
「なっちょっもう馬鹿なんだけど、最悪、ばか」
今度こそスマホを布団に突っ込んで、ナマエに覆いかぶさって抱きしめる。あったかい体温が重なるのってなんでこんな心地いいんだろう。
「ナマエー」
「なに」
「大好きだよ、愛してる」
「ほんとばか」
ひとしきり腕の中の体温を楽しんだあと、首にキスするとナマエと目が合う。苦笑したナマエは俺の首に腕を回して「好き」と言った。ねえずるいよ。そういうとこだよ。
いつも俺ばっか好きかと思うじゃん? でもお前も相当俺のこと好きだよね? 写真撮られても好きなんて。絶対離せなくなる。ていうか、他の男とのお前の人生があるなんて、死ぬほどやだし。
たまらなくなって唇に噛み付いた。
どうやったら一番気持ちよくなってくれるかなー? 恥ずかしがってあんまり言葉で教えてくれないんだよな。その分身体がわかりやすすぎるんだけど。
「ここ好き?」
「知ってるくせに聞かないで」
「変わったかも知れないじゃん。こっちは?」
「ね、ほんと、やめ、聞かないで、て、いうか、そこまでするなら早くいかせて」
息も絶え絶えに苦しそうな顔でおねだりするナマエに血がどんどん集まっていくのがわかった。ナマエを気持ちよくさせるのもいいけど、やっぱ一緒に気持ちよくなるのが一番好きかも。
親指でクリトリスをくすぐりながら一番奥の少し上側に向かって腰を打ち付けた。きゅうっと締められてすぐイきそうになる。俺早漏なのかな……
でも仕方なくない? 気持ちいいんだもん。
「どうせもっかい勃つからさ、もうイっていい?」
「ばか、っ」
何回馬鹿って言うんだよ、酷いなー。でも好き。かわいいから。
って思ってたら限界なんかもうすぐそこにあって、背中に回った腕に力が込められた時、ぴったりくっついた場所でナマエを抱きしめながら吐き出した。
宣言通り俺はすぐに回復するわけだけど、ナマエはもう既に何回もイってるわけで。どこまでイけるかな? って性感帯をおさわりしまくって突きたいだけ突いていたらわりと真剣に怒られた。
そんなとろけた顔で何言ってるんだか。とか思ってしまったけど。
ベッドに沈んで呼吸を整えているナマエに腕枕しつつ布団を足で手繰り寄せると、布団に絡まったスマホが出てきた。
「ねえもう一回撮ろ、今のお前ちょーかわいい」
あ、事後のベッド写真なんてそれこそ週刊誌じゃん。
ベチンと音を立てて胸元にビンタが飛んだ。かわいいってのは本当なんだけどな。