夏樹くんはベッドの上でもよく喋る

私に覆いかぶさる彼は、心底幸せそうに微笑む。もともと優しい顔立ちのその目元を細めて、白い歯を覗かせて私の名前を呼ぶのだ。

「ナマエ、好きだよ」
「私も、好き」

さんざん焦らされてやっと一番奥に届いた熱を逃したくない。思わずしがみつくように背中を求めると、それをいいことに夏樹くんは腰を支えて突き上げ始めた。
そんなふうにされてしまっては腕に力を込めるしかなくて、腰を突き出しながら一生懸命密着する。

「ねえ、音すごい」
「んっ、う、あっ、あ」

ぐちゅぐちゅびちゃびちゃと響く下品な水音は間違いなく私と夏樹くんのものだ。どう動けばこの音が大きく響くかわかっているくせに、わざとそう動いている。夏樹くんは少し意地悪だから。

「恥ずかしい」
「じゃあ聞こえなくしてあげよっか」
「っふ、あ、あ」

微笑むような蔑むような表情を浮かべた夏樹くんに見下されると、焦燥感や羞恥心で消えてなくなりたくなってしまう。そんな私を全部包み込んでくれるような夏樹くんの甘い声。
夏樹くんの顔が近づいてくると額にキスが落とされ、目元と耳元にも唇が触れる。くすぐったさに身悶えていると、耳に直接いやらしい水音が響いた。
ぬるりとした感覚が耳の穴までねじ込まれ、ゾワゾワとした痺れが背筋を駆け上がる。
耳元の刺激だけでもどうにかなりそうだというのに、夏樹くんは腰の動きを止めたりはしない。こんなのでは“聞こえなく”なんてなるわけがない。

「どっちの音が大きいかな」
「あっ、ん、や、っは、あっ、あ」
「はは、お前の声が一番大きい」

そんなことない。なんて脊髄反射的に思うけれど、それはそれで私がすごく濡れているという証明でもある。どっちにしてもただただ私が恥ずかしいのだ。

「はー、すっごい、気持ちいい」
「ん、ん、」
「しあわせー」

気の抜けるような声とは裏腹に激しい腰使いは変わらず、夏樹くんが耳元から離れていけば水音に混じって肉と肉がぶつかる音が際立った。

「ここ自分で触って、気持ちよくなって」
「や、あっ」
「好きでしょ?」
「……っ好き、」

導かれるまま結合部の上で固く主張した小さな肉の塊を押しつぶす。自分で塗り拡げるまでもなく濡れていたそこを欲に任せて撫でると絶頂まであっという間に思えた。

「ねぇナマエ、こんな恥ずかしいカッコ、俺以外に見せちゃダメだよ?」
「夏樹くんだけ、夏樹く、ん、好き、っ」
「お前、ほんとかわいいね」

子宮口の辺りを重点的に何度もぐりぐりと押され、夏樹くんの「イってるとこ、見せて」という言葉とともにその姿をさらけ出した。
夏樹くんは余韻に浸る私を優しく撫でて抱きしめてくれる。
その時一番奥で夏樹くんのものが一層固くびくんと脈を打ったのがわかった。

「俺も気持ちよくなっていい?」
「なって、私も、もいっかい」
「ん、」

口を開いて舌を伸ばしてキスをねだると、すぐにその欲は満たされる。それと同時に私の内部で再び首をもたげた欲も少しずつ満たされ始めた。
ゆるゆると抽挿を再開した夏樹くんが徐々に激しさを増し、キスの合間にどちらともわからぬ吐息が漏れる。さすがに苦しくなって唇を離すと、夏樹くんには劣情の表情が浮かんでいた。

「もう限界だよー、ナマエー」
「ひ、あっ、あっああ」

夏樹くんの筋張った手が私の腰をガッシリと掴んで激しく揺さぶる。普段温厚な夏樹くんからは想像できないようなたくましさ。
今もそうだ。柔らかい口調と甘い声なのに、こんなにも激しいなんて。

「は、っ、んん、ナマエ、」
「なつき、くん……っ」
「うー、出そう、一緒にいこっか」
「んっ、うん、っ、ああっ、あっあ」
「出す、よ、っ、ナマエ、」
「っああう、んんんっ」

一番奥に叩きつけられ、そこでどくどくと熱がこぼれだすのがわかる。薄いゴム一枚を隔てているのが少しだけもどかしく感じた。

「はー、きもちー」

心の底から感情表現してくれる夏樹くんの声を聞いて思わず頬が緩む。夏樹くんの体重を受け止めている今のまま、時間が止まればいいのに。
首元にすり寄れば、頭を撫でられてぎゅうっと抱きしめられた。

「ナマエ、大好き」
「私も、……大好き」

余韻に浸っていると、中に収まったままの塊がぴくんと跳ね、この続きを予感させた。自ら腰を擦り寄せれば、夏樹くんはまた柔らかく微笑んで私にキスをくれる。
このままその続きをしたいけれど、使用済みのそれを新品に変えなければいけないことはわかっていた。だけどそれがひどく寂しくて、思わず瞬間的に足を絡めてしまう。

「お前、ほんとかわいすぎ」

ついばむようなキスから貪るようなキスへ。抱きしめて、撫でて、私が寂しくないように甘やかしてくれる。
こんなに素直に表情や声で感情表現する人に、どうやったらこの気持ちが伝わるだろう。
言葉にできない幸福感を精一杯腕に込めて抱きしめ返した。

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