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SLY:10

言うや否や踵を返して俺の前から立ち去ろうとする彼女の腕を引いた。反射的に取った行動だったせいか力の加減ができず、]ちゃんが覆いかぶさるように倒れてくる。 本当ならここで「大丈夫?」なんて言って立たせてあげるのが良いんだろう。いつもの俺なら...
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SLY:09

驚いて泣きそうになっていた気持ちも引っ込んだ。 ]ちゃんは呼吸を整えるように荒く息を吐きながら俺を見下ろしていた。急に突き飛ばされたものだから、俺はベッドの上に尻もちをつくようにして情けない顔で彼女を見上げる。 怒ったような泣きそうなよ...
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SLY:08

形容しがたい壁紙。薄暗い照明と、部屋の広さに不適切とも言える必要以上に大きなベッドとテレビ。と、謎のマイク。謎のマッサージチェア。 「こーゆーとこ久々」 「あっそう」 腕を引かれた俺はそのままの勢いでカフェからほど近い人目につかない場...
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SLY:07

「もう会ってくれないと思った」 「友達なのに?」 もう19時前だというのにまだ辺りは明るくて、テラス席には気持ちの良い風が吹いた。一応夜だから、と思って俺と]ちゃんの間にはフルーツやハーブが飾られたカフェらしいSNS映えしそうなカクテル...
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SLY:06

羽鳥の顔を見ると心臓の音が大きくなることは、出会ってすぐに気づいていた。 心ここにあらずと言わんばかりに遠くを見つめている瞳や、それを隠すような笑顔と、物腰の柔らかい振る舞い。 こと女性に対しては余計にその傾向が強くて、私に対してもそう...
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SLY:05

「だからって、なんで僕」 場所を移していつものバーで、俺の隣には神楽がいた。 盛大なため息をつきながらとても嫌そうな顔をしているけれど、呼び出しにはしっかり応じてくれるあたり憎めない。 「神楽が良かったんだもん」 「気持ち悪い」 ...
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SLY:04

思い返してみればそれなりに長い付き合いの中できちんと約束をして二人きりで会ったのはあの日が初めてだった。 あの時は結構強引に誘って無理矢理取り付けたようなものだったけど、今回は意外にもすんなりと約束してもらえて少し驚く。 間違ってもRe...
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SLY:03

間違いなく、あの日以来俺はおかしくなってしまった。 原因は大体見当はついているけれど、何をどう解決すべきなのかがまるでわからず大学時代ぶりの不眠症だ。 「君、かわいいね。神楽の友達?」 「……ははっ、なにこの人、亜貴くんの友達?」 ...
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SLY:02

彼女の背中を見送ったきり、俺も神楽もまったく動けなくなってしまった。神楽は動けたのかも知れないけど、神楽なりに何かしら思うことがあったのだと思う。 次に口を開くならきっと神楽が先だろう。どんな言葉をくれるのか。感情の責任を神楽に押し付ける...
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SLY:01

妙にリアリティのある夢を見て、まるでただ目を閉じていただけと言わんばかりに目を開くと、そこにはベッドサイドの照明があった。 しまった。酔っていたとはいえ女の子に背を向けて寝るのはちょっと嫌な感じだ。そう思って寝返りを打つと、そこにいたはず...
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